物と物をこすれば熱が出るということは周知のこと。原始時代の昔から知られている、摩擦による熱を利用して、金属と金属を接合する応用技術の一つが摩擦圧接法です。
基本的な摩擦圧接サイクル
①スライド前進
②スピンドル回転
③素材接触
④摩擦発熱
⑤アプセット加圧
⑥スライド後退、ワーク排出
摩擦発熱工程
材料を回転させ、一定の圧力(摩擦圧)で押付けあうと接合面は摩擦熱により温度が上昇し、高温層が形成されます。
アプセット加圧工程
このあと回転を急停止し、さらに高い圧力(アプセット圧)を加え、一定時間保持させることで、材料は高温・高圧のもとで固相接合が行われます。
2つの母材は、原子間引力※により強固に接合し、引張強さは、なんと母材よりも強くなっています。
※原子間引力(ファンデルワールス力)とは?
①摩擦熱による軟化により変形抵抗が低下した2母材の原子間距離を接近させます。
②接触時の材料表面原子同士が引張り合う力「引力」が作用する位置(B)を、その引力と反発し合う力「斥力」が平衡状態になる位置(I)まで接近させると接合が完成します。
③平衡状態の形成はその金属の融点以下で可能となります。
④異種金属間においても、引力と斥力の平衡状態の形成が可能ならば結合が成立します。